島を感じる|「 離島 」を舞台にしたおすすめ小説5選

22.01.04

01 「 明日の僕に風が吹く 」
乾 ルカ

「未来の自分を想像して見ないか?」

あることがきっかけで夢と居場所を失い不登校になってしまった少年は、伯父の勧めで北海道の離島・照羽島(てうじりとう)の高校に入学することに。
島の高校の全校生徒はたったの5人。都会の生活とはまるで違う離島の生活に戸惑いながらも、島での温かい人との出会いや様々な経験を経て、少年は少しずつ自信を取り戻していく。

「天気と過去は変えられない。
でも、過去をどう思うのかってのは変えられるよな、今の自分で ー」

本文より

モデルとなっているのは北海道の天売島。絶滅危惧種のウミガラス(オロロン鳥)やケイマフリ、ウトウなど世界有数の海鳥の繁殖地として知られる「海鳥の楽園」とも呼ばれる島です。
それぞれの人生や想いが、海鳥の生きていく姿と共に丁寧に描かれています。島に響き渡る海鳥の鳴き声を、いつか聞きに行ってみたいものです。

明日へ踏み出す勇気をくれる、心の再生と成長の物語。

02「 島はぼくらと 」
辻村 深月

旅立ちの日はもうすぐ
別れる時は、笑顔でいよう。

舞台は瀬戸内海の架空の島 冴島(さえじま)。島には高校がないため、毎朝フェリーに乗り本土の学校へ通学する4人の同級生が主役の青春物語。
いつかここを出ていくことを前提に育つ島の子供たち。卒業とともに島を出る4人が共に過ごせる最後の季節がやってくる。それぞれの未来と決断。淡い恋と友情。そして、大人たちの覚悟。

「出ていく場所」だった故郷が「帰ってくる場所」になる時がくる。
息苦しさも居心地の良さも含めて、全部が私達の故郷。

背表紙より

島で暮らす人たちの温かさや結びつきだけでなく、IターンやUターン問題、田舎特有の閉鎖性や子育て問題、島の人と島の外から来た人の関わり合い方。いろんな面での離島暮らしのリアルが描写されています。
電車通学に憧れた高校時代だったけど、フェリー通学はもっと憧れますね。キラキラした青春時代を思い出しました。
「行ってきます」と「おかえり」がある場所は、世界で一番幸せな場所だと私は思います。

03「 つるかめ助産院 」
小川 糸

命を育む人と、南の島の小さな助産院の物語。

突然の夫の失踪で身も心もボロボロだった主人公は、過去に夫と訪れた思い出の南の島に足を運ぶ。そこで偶然行き着く島の小さな助産院、そして院長の鶴田亀子との出会い。
そこで告げられる予想外の妊娠に戸惑いながらも、島の個性豊かな仲間との出会いや美しい海に囲まれ、主人公は誰にも言えなかった孤独の過去と向き合うようになるー。

ある意味、人は生まれ落ちた瞬間から、誰もが捨て子なのかもしれない。
どこまでも孤独で、だからこそ人と触れ合ったり助け合ったりすることに喜びを見いだせるのだ。

本文より

自然の素晴らしさ、人との繋がりの大切さ温かさ。そして「出産」という命の誕生。
みんなそれぞれいろんな物を抱えて生きている。そんな中でひとがひとをこの世に産むって、ほんとに神秘的。奇跡のようなこと。そして、登場人物の温かにほっこり。
舞台は”ハートの形をした”という描写から恐らく八重山諸島の黒島。こちらの小説は仲里依紗さんの主演でドラマ化されていて、撮影は主に竹富島で行われたそうです。

人生で一番悲しいこと
それを話せることがその人を愛してる証拠

本文より

04「 アンマーと僕ら 」
有川 ひろ

親孝行の三日間、あなたは何を伝えますか?

舞台は沖縄。母の休みに付き合うため沖縄に帰省した主人公。ガイドをしている母とともに家族の思い出の地を巡るうちに、主人公は不思議な感覚にとらわれる。母と過ごす三日間。この三日間が意味するものとは、、。

言いたかったことは、今の君が言えばいい。

本文より

”アンマー”とは沖縄の言葉で”お母さん”の意味で、この物語は 母親への感謝の気持ちを綴った かりゆし58の楽曲「アンマー」から着想を得た作品だそうです。
母と息子、父と息子、そして夫婦。あるひとつの家族の愛と、それぞれの幸せを想う気持ちがたくさんつまった物語です。

血が繋がっているかいないかは関係ない。
家族は家族。かけがえのない大切なもの。

改めて家族の大切さを感じるとともに、斎場御嶽や残波岬、万座毛など沖縄の観光名所もたくさん出てくるので、一緒に沖縄を旅行している気分に浸ることができます。
コバルトブルーに輝く沖縄の海がとっても恋しくなります。

05「 海を抱いたビー玉 」
森沢 明夫

『ボクはいま、世界のどのバスよりも幸せに生きている。』

運転手の親子に愛されたことで「心」をもったボンネットバスと、バスを愛した少年や大人たちが一つの青いビー玉で繋がれていく、感動と奇跡の物語。

モノちゅうもんはの、必要とされる人のところに自然と渡っていくもんじゃけ。それがモノの幸せちゅうもんじゃ。

本文より

舞台は”神の島”と呼ばれる瀬戸内海の真ん中に浮かぶ 大三島(おおみしま)。昭和40年代の大三島から福山、湯沢、そして大震災に見舞われた山古志村へ...
人とモノの関わり方を通して「生きることの美しさ」を語りかけてくれる優しい、優しい物語です。

大切にしたモノには「心」が宿る。

心をもったボンネットバスと、登場人物との温かいエピソードに、涙が止まりませんでした。

こちらは事実をもとに描かれている物語で、主人公の愛くるしいボンネットバスはもちろん、作中の登場人物には実在の人たちがたくさんいるんだそう。
物語のボンネットバスと奇跡のビー玉に、会いにいくことができるかもしれません。

以上、離島を舞台にしたおすすめ小説5選でした。

島への想いを馳せながら、
おうち時間に心温まる物語はいかがでしょうか?

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