香川県丸亀市の港から船で35分。
瀬戸大橋のすぐ西側
塩飽諸島の中心となる島 本島(ほんじま)。
かつて海運で栄えた本島には、
今も当時の貴重な建物が多く残っています。
そんな歴史ある文化財の宝庫として知られる
「本島」の紹介です。
ノスタルジックな古い町並が残る島
「 本島 」

本島は、香川県丸亀港から船で約35分。大小28の島々からなる”塩飽諸島”の中心となる島です。
江戸時代に活躍した塩飽水軍の拠点として栄え、咸臨丸の乗組員を多く輩出しました。
また国の重要伝統的建造物群保存地区でもある”笠島まち並保存地区”や昔の役所跡である”塩飽勤番所”などの歴史ある貴重な文化遺産が残る島としても有名です。
風を感じながら本島一周のサイクリングへ

本島をめぐるにはレンタサイクルがおすすめです。船から降りたらまずは港の待合所へ!


普通の自転車なら1日500円、電動自転車なら1500円でレンタルができます。(おすすめは坂道でもスイスイ走れる電動自転車!)
今回は港から反時計回りでぐるっと一周したスポットを紹介していきたいと思います。

01
可愛い流木アーチに歓迎されて
島内巡りのスタート!

港を出発して反時計回り、最初に出会うのは可愛い流木アーチです。
その先には猫ちゃんの可愛い絵がたくさん飾られている「色えんぴつアート猫小屋」があり、自由に見学ができます。

本島中学校には周辺の島でもよく見かけるお馴染みのブイアート!

更には海沿いのお庭に風に吹かれて何やらくるくるキラキラ。よく見るとビールの空き缶で造られた風鈴アートです。 優しいブリキの合唱になんだかほっこり。スタートから可愛いアートに癒されます^^

02
かつての海の政所
塩飽勤番所跡
本島に残る「塩飽勤番所跡」は、江戸時代に塩飽諸島の船方が塩飽領を統治する役所として1798年に建てられたもの。
「勤番所」と呼ばれる建物は全国でもここだけで、国の史跡に指定されているとても貴重な建物です。
現在は織⽥信⻑・豊⾂秀吉・徳川家康らが、当時領地を認めた朱印状など、塩飽⽔軍に関わる貴重な資料を見学することができます。
■ 塩飽勤番所跡
丸亀市本島町泊81 本島港から徒歩10分
入館料大人200円、子供100円
03
樹齢450年の巨樹
長徳寺のモッコク

平安時代、長徳年間(995〜998年)に開かれたとされる長徳寺。この境内には樹齢450年とされるモッコクの巨樹があります。
高さ9m、枝張り14~15mと四方に枝別れしたこの立派な姿はモッコクの中ではとても珍しいそう。香川県の保存木に指定されていて、丸亀市の市指定天然記念物でもあります。
宝樹であるモッコクに、ぜひパワーをもらいましょう。

■ 長徳寺のモッコク
丸亀市本島町笠島484 本島港から徒歩20分
見学自由
04
瀬戸大橋を一望!
島内一の絶景 遠見山展望台

笠島集落の後ろに位置する"しま山100選"に選ばれる遠見山(とおみやま)。
標高101mの山頂にある「遠見山展望台」からは、瀬戸内海の多島美と瀬戸大橋を一望できる最高のロケーションが待っています。


山道を15分ほど登って辿り着くこちらの展望台。道はきちんと整備されているのでハイキング感覚で登ることが可能です。本島へ来たらここからの景色はぜひおすすめです。
■ 遠見山展望台
丸亀市本島町笠島 本島港から徒歩30分 見学自由
05
塩飽大工の復活の願いを込めて。
善根湯 × 版築プロジェクト

遠見山を下り、笠島地区方面へ走っていると海岸の手前で見えてくるのが"善根湯× 版築プロジェクト"。斉藤正 × 続・塩飽大工衆によって制作された作品です。
かつて栄えた塩飽大工の復活プロジェクトの一環として制作されたこの作品は、塩飽大工建築に見られるむくり屋根と版築とで構成されたセルフビルドの建築であり、最終的には300人以上もの多くの人の手によって完成されたそう。
素材はほとんどが土で、多くのボランティアの方達の手によって突き固められ、作り手の思いが地層のように表面に浮き出ているのが特徴的です。
■ 善根湯(ぜんこくゆ) × 版築(はんちく)プロジェクト
丸亀市本島町笠島 本島港から徒歩20分 見学自由
06
青い空と海と、瀬戸大橋。
新存家海岸

新存家海岸は、塩飽諸島の中でも瀬戸大橋を真横に見ることができるとっておきの絶景スポットです。
静かな波の音と、砂浜と、春の匂い。青い空と海に、瀬戸大橋との記念写真はいかがでしょう。

海の透明度もとても高く、鮮やかなブルーの写真は午前中に行くのがおすすめです。
島民の方々お手製!幸せの鐘 ♡

もう少し先を進むと、流木で造られたフォトジェニックなスポット「幸せの鐘」もあります。
こちらは島民の方々の手作りだそう。アーチ越しの瀬戸内海と瀬戸大橋。この景色を見たら、きっといいことがあるかもしれません ^^
■ 新存家(しんざいけ)海岸
丸亀市本島笠島 本島港から徒歩約20分
07
かつての名残をとどめる
笠島まち並保存地区

国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている「笠島集落」は、城下町として栄えたかつてのまち並みが多く残る貴重なスポットです。

敵の襲撃を逃れるために迷路のように曲げられた道は城下町特有の作り。また塩飽大工によって手がけられた漆喰の白壁、なまこ壁、千本格子の窓、虫籠(むしこ)窓、矢来(やらい)、むくりなどが美しい状態で保存されています。
・笠島まち並み保存センター(真木邸)

笠島の案内所として、中を見学することができます。集落の情報や建物の説明などを聞くことができるほか、島民手作りのグッズやお土産の販売もあります。
■ 笠島まち並保存センター
丸亀市本島町笠島
入館200円(ふれあいの館、文書館の3館共通)
・吉田邸
先代が亡くなられた後ご自宅を一般公開されている「吉田邸」は、築100年の建物に伊藤若冲の掛軸(現在はレプリカ)や細部までこだわり抜いた塩飽大工の建築を見学することができます。
■ 吉田邸
丸亀市本島町笠島314
入館300円 見学は要予約
・マッチョ通り

笠島地区のメインストリートで、マッチョというのは「町通り」の呼び名が変化したもの。立派な家屋が道の両脇に立ち並んでいます。

情緒溢れる古いまち並みは、かつての時代にタイムスリップしたような気分になります。
■ 笠島まち並み保存地区
丸亀市本島町笠島 本島港から徒歩25分 見学自由
08
水の下の空
アレクサンドル・ポノマリョフ

笠島まち並み地区を過ぎ自転車を漕いでいると、海の向こうに現れるのは『水の下の空』という作品。
ロシア出身のアーティスト アレクサンドル・ポノマリョフ氏によってつくられた瀬戸芸2019の作品です。

砂で造られたように見える三艘の大きな船が風でゆっくりと揺れる。船底の古いロープや網がもつれ合う幻想的な作品は、かつて瀬戸内海を行き交っていた和船をイメージして造られたそうです。
道路の脇に自転車を置いて坂道を下れば作品がある浜まで行くことができます。
■ 水の下の空
丸亀市本島町笠島 本島港から徒歩40分 見学自由
09
海へと伸びる灯台
屋釜海水浴場

海へと伸びる灯台が印象的な”屋釜海水浴場”。ここは泊海岸に比べると人が少ないのでのんびりと海を楽しむことができます。

穏やかな海に、対岸には岡山県の水島コンビナートや鷲羽山の風景。トイレや駐車場もあり綺麗で穴場のビーチです。

海を眺めながらぼーっと物思いに耽るのも、最高の過ごし方ですよね。
■ 屋釜(やがま)海水浴場
丸亀市本島町. 見学自由. 駐車場、トイレあり
10
映画 機関車先生 のロケ地
水見色小学校

2004年に公開された坂口憲二さん主演の映画「機関車先生」のロケがここ本島で行われました。
言葉を発することができない先生が小さな島の小学校に赴任し、子どもたちと心を通わせていく様子を描いたものですが、作中での”水見色小学校”としてこの建物が使われ、撮影後も保存・公開されています。


昔の教室、木枠の窓、使い古された黒板、小さな椅子と机。今にも小学生たちが駆け込んできそうな不思議な空気。黒板には坂口憲二さんが演じた機関車先生からのメッセージも残されていました。


→ 老朽化が進み、残念ながら閉鎖されてしまったようです。
■ 機関車先生のロケ地(閉業)
丸亀市本島町尻浜740
11
珍しい二連式の土蔵
夫婦倉

こちらは嘉永5年(1852年)に塩飽大工の手によって建てられたという木造本瓦葺、二連式の土蔵で、なまこ壁が美しい 塩飽の廻船に関する貴重な建物です。
同じカタチをした倉が二つ並んでいることから”夫婦倉(めおとくら)”と呼ばれ、昭和61年に丸亀市指定文化財になってから現在の場所に移転され保管されています。
■ 夫婦倉
丸亀市本島町生ノ浜 見学自由
12
パワースポットな ゆるぎ岩観音

岩に彫られた如意輪観音が頬に手を当てている姿から”歯痛を治してくれる仏様”として信仰されていたそうです。
本島霊場代十八番礼所になっている磨崖仏で、上に乗った大きな岩が落ちそうで落ちずにグラグラとすることから地元の人は「ゆるぎ岩の観音さん」と呼び親しんでいるそう。
■ ゆるぎ岩観音
丸亀市本島町 見学自由
13
様々な絵画の文化を超えてつくる家
咸臨の家 / 眞壁陸二

こちらも瀬戸芸の作品、眞壁陸二さんの”咸臨の家”です。
日本で初めて太平洋を横断した咸臨丸。そして咸臨丸の水夫だった横井松太郎氏の生家を舞台にしたアート作品で外は壁画、中は床に水鏡。江戸時代の杉戸絵やモスクのタイル画、教会のモザイク画などが描かれた色彩豊かな作品です。
船上の平等を意味する「咸臨」は、価値観や文化の違いを認め合うことを表現しているんだそう。
■ 咸臨の家
丸亀市本島町662
300円(パスポート提示で無料)
14
島のお洒落カフェはここ
Honjima Stand

本島でランチやひと休憩なら、ここ「本島STAND」です。本島観光案内所内にあって、”島外の方と島民を繋げるレセプション”をコンセプトに2018年にできました。
窓側のカウンター席に座れば海を見ながら島の食材が使われた絶景ランチ♩メニューは肉系か魚系から選びます。

とにかくお洒落な店内で、港と瀬戸大橋を観ながらのんびりとできる素敵なカフェです。天気がいい日は外のテラス席もおおすすめ。
■ Honjima Stand
丸亀市本島町泊494-16 本島観光案内所内
instagram (@honjima_stand)
15
Vertrek 「出航」/ 石井章

日本で初めて太平洋を横断した咸臨丸をモチーフとした石井章氏の作品。本島港のすぐ近くに展示されています。
帆を上げ宙に浮く船の鉄彫刻。空に向かって進むかのような勇ましい姿は、青い空にとっても映えます。

■ Vertrek 「出航」
丸亀市本島町泊 見学自由
以上、本島の観光スポットの紹介でした♩
本島へのアクセス

本島へは香川県側の丸亀港からと、岡山県側の児島港からアクセスができます。

瀬戸大橋を眺めながらの船旅はとっても気持ちが良いので、個人的には時間はかかるけどデッキに出られるフェリーがおすすめ。

① 丸亀港(香川) ー 本島 1日8便(数回牛島経由)
フェリー約35分、旅客船約20分
→本島汽船
② 児島港(岡山) ー 本島 1日4便
旅客船約30分
→むくじ丸海運有限会社
瀬戸内国際芸術祭の期間中はダイヤが大幅に変更になる場合があります。時刻表などの詳細は各HPをご確認下さい。
まとめ

これだけのスポットをゆっくり巡っても、約5時間ほどで一周することができました。
本島はかつての歴史が残る、とても貴重なスポットが多くあります。それぞれの歴史の背景を少しでも頭に入れておくとより本島観光を楽しめると思います。

瀬戸内海の穏やかで綺麗な海に、バックには瀬戸大橋。風を感じながら行き交う船を眺めながら、季節の草花を楽しみながら。
本島は一周サイクリングにはピッタリの島です。

のんびりと、静かな島時間を楽しんで下さい^^





