【漂流郵便局】瀬戸内アートの粟島 届かぬ想いを手紙にしてみませんか?

粟島 漂流郵便局


瀬戸内海に浮かぶ小さな島に
行き先のない想いを綴った手紙が集まる
世界でたったひとつの郵便局があります。

” いつかの どこかの 誰か宛て ”

そんなあたたかで不思議な郵便局をご紹介します。

粟島 漂流郵便局

香川県三豊市の港から船で15分。瀬戸内海に浮かぶ人口300人程の小さな島、粟島(あわしま)。

「漂流郵便局」と名付けられたその郵便局は、船を降りた粟島港から小道を抜けて、スクリューの様な形をした島のちょうどおへその部分にあります。

粟島 漂流郵便局


ここは、届け先の分からない手紙を受け付けてくれるちょっと変わった郵便局です。
本物の郵便局ではなく、「届け先不明の手紙を受け付ける郵便局」というコンセプトに2013年の瀬戸内国際芸術祭で芸術家・久保田沙耶さんによりつくられたアート作品です。

旧粟島郵便局を改築してつくられたこの郵便局。芸術祭の会期中の約1ヶ月で400通もの手紙が集まりました。
多くの反響が寄せられた漂流郵便局は芸術祭が終わった後も存続が決定し、現在も様々な想いを綴った行き場のない手紙は世界中から寄せられ続けており、その数は2022年でなんと5万通!

漂流郵便局の局長を務める中田勝久さんは、「集められた手紙をずっと残したい」そんな思いで、芸術祭が終わったその後もボランティアとしてこの郵便局を管理し守り続けて下さっています。

小さな島へ
世界中から集められる手紙。

粟島 西浜
粟島の海辺、西浜

穏やかな潮の流れに乗り、日々たくさんの”漂流物”が流れ着くという粟島。
今でも世界中から届く手紙は、この島に流れついた漂流物のアートの一部としてこの郵便局に大切に保管され続けます。

そして訪れた人は、その手紙ひとつひとつを手にとって自由に読むことができます。

粟島 漂流郵便局
5万通を超える手紙が全て保管されている

陽の光がさんさんと差し込む明るい室内に、中央に立つ八角形の回転する卓。
ここに差し込まれた無数のピアノ線によって、手紙の入ったブリキの箱がゆらゆらと泳いでるように見えます。

粟島 漂流郵便局
手紙の入ったブリキ製箱が、ゆらゆらと漂流し続ける

こうしていつかの誰かに届くその日まで、手紙は時間の海に漂い続けるのです。


亡くなってしまった大切な人へ

二度と会うことのない最愛の人へ

普段なかなか素直に言えない家族へ

言葉の通じない大事な宝物へ


過去の自分へ
未来の自分へ

そして、今ここにいる自分へ。

粟島 漂流郵便局

自分の想いと重ねてみたり、勝手に応援したくなったり、思わずクスっと笑えてきたり。
見ず知らずの人の人生をちょこっと覗き見しているような、そんな感覚で集められた手紙を読むことができます。

手紙ひとつひとつにそれぞれの人生の葛藤や胸の内が込められて、哀しみや苦しみ、感謝の気持ち。そんなたくさんの想いが時空を超えて行き交う不思議な空間がここにはあります。

多くの人が涙を啜りながら手紙を読む姿に、「ここにティッシュがあるのでね、どうぞ使って下さいね」とそっと声をかけてくださる局長さんの優しさが、心にギュッと沁みわたります。

流れ着いたこの島で。

粟島 漂流郵便局

人の手によって運ばれる郵便物と自然の力によって運ばれる漂流物、そして何かの力によってこの島に運ばれる私達。漂流郵便局は、これらが出会い重なるひとつの波打ち際のようです。

書籍 漂流郵便局より


こう語る「漂流郵便局」製作者の久保田沙耶さん。

はじめてこの旧粟島郵便局を訪れ、かつてここを行き交っていた物や人や出来事を思いながらガラスに映る自分を見つけたとき、「自分もここに流れ着いてしまったみたいだ」と感じたそうです。

粟島 漂流郵便局
島へ流れ着いた漂流物も一緒に飾られている

実際に私も、数年前にこの郵便局の存在をはじめて知ったときは「へえ、こんな場所もあるんだ〜」くらいにしか思っていなかったのですが、身近な人の死をきっかけにふとこの ”漂流郵便局” の存在を思い出しました。
そして、気付けば導かれるようにここへ来ていました。

大切な人を亡くした哀しみと、様々な後悔と、伝えきれなかった沢山の想いを、無意識に何処か吐き出せる場所を探していたのかもしれません。

もう伝えることのできない胸の奥に眠った気持ち。
そんな想いを、手紙と言うカタチで受け取ってくれる場所がある。何も言わずにただただ優しく受け止めてくれる場所がある。
たくさんの人たちのたくさんの想いに触れ、不思議と勇気をもらえる場所がある。

私はそれだけでどこか救われた気がしました。
きっと同じように、この場所の存在で救われた人は沢山いるのではないでしょうか。

然るべき時に然るべき場所へ辿り着く。
きっと、そういうタイミングで、私もここへ流れ着いたんだと。

粟島の穏やかな海を眺めながら、そう思いました。

西浜

あなたも
小さな島の、不思議なアートの世界を体験してみませんか?

その秘めた想いを、手紙にしてみませんか?

手紙は直接ここに持ってきても、もちろん見学だけでも大丈夫です。
開局外に来た方は入り口左のポストに投函ができます。

郵便局内にはオリジナルの葉書も売られていて、手紙を書くためのスペースも用意されています。
優しい局長さんが迎えてくれます^^

郵便局内で売られているハガキ
粟島 漂流郵便局
手紙を書くスペース
漂流郵便局
香川県三豊市詫間町粟島1317-2 入場無料
開局は時期により異なるため、詳細は公式HPよりご確認下さい。
https://www.mitoyo-kanko.com/awashimaisland/

 手紙を出したい方はこちらまで

〒769-1108
香川県三豊市詫間町粟島1317-2
漂流郵便局留め
〇〇様(本名でなくていい)

・手紙の返却はできない
・手紙の著作権は漂流郵便局に譲渡する
・差出人の住所は不要書籍

書籍「漂流郵便局」より

書籍にもなっているので、現地になかなか行くことの出来ない方はこちらもおすすめです。
実際に漂流郵便局に送られた、心を揺さぶるたくさんの手紙が収録されています。


漂流郵便局の他にも粟島には、日本最古の海員学校跡地である粟島海洋記念館や、しま山100選に選ばれる絶景の城山、夕陽が綺麗な西浜、穏やかな海などたくさんの魅力があります。
三年に一度開催される瀬戸内国際芸術祭の開催地ともなっています。ぜひゆっくりと島を訪れてみて下さいね^^

粟島漂流郵便局

-四国エリア, 粟島, 香川
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