都心からわずか120キロ先に浮かぶ
もうひとつの東京、伊豆大島。
ジェット船でたったの2時間で着く伊豆大島には
東京とは思えない自然で満ち溢れています。
そんな島の中央に鎮座する「三原山」は、
今も白い噴煙が立ちのぼる活火山。
これまでに幾度も繰り返す噴火によって
島をつくりあげました。
そんな自然がつくりあげた壮大な景色を求めて
活火山、三原山登山へ !!
地球の鼓動を感じる「 三原山 」
島のシンボルである三原山は、昔から島の人達に「御神火(ごじんか)様」として崇められてきました。
島の真ん中にどんと構え、巨大すぎる火口からは今も噴煙がもくもくと立ち上り、繰り返す大噴火の様子を思わせる溶岩流の跡や雄大なカルデラの様子は、まさに地球は生きている ー そんなことを思わせる圧倒的な大地のエネルギーを感じることができます。
また三原山は「しま山100選」にも制定されていて、登山道も整備されていて歩きやすく、天気が良い日は登山道から富士山も眺めることができます。
しま山100選 007
三原山(みはらやま)
・東京都大島町 大島 ・標高 758m
・距離 約4.5km (三原山山頂口〜山頂)
・歩行時間 約2時間半(三原山山頂口〜山頂往復)
▼ 登山口までのアクセス
元町港・岡田港より三原山山頂口まで車で約30分。
バスでのアクセスも可。
▼ 登山道
火口展望台まで整備されていて、標識もある。
▼ 注意点
火口周辺は溶岩の上を歩くので運動靴か登山靴が良い。
冬場は風が強いことも多い。
山頂入口、火口展望台、大島温泉ホテルに公衆トイレあり
▼ 問い合わせ
→ 大島町役場 04992-2-1444
"登山で見つける新しい島の魅力 しま山100選”より
三原山ハイキングのおすすめは
温泉ホテルコース!
三原山のトレッキングは、[山頂遊歩道][お鉢巡り][温泉ホテルコース][テキサスコース][表砂漠コース]などいくつかのコースが整備されていますが、今回紹介するのは三原山の王道コースともいえる所要約3時間の温泉ホテルコースです。三原山山頂口から[山頂遊歩道]を歩き三原神社で参拝、火口をぐるっと[お鉢巡り]、そのまま[大島温泉ホテルコース]をいく総距離約8kmのルートです。
大島公園へ抜けるテキサスコース、幻の池や赤ダレを目指す表砂漠コースは上級者向きとも言えるので、距離やルートの十分な確認が推奨されています。
▼ スタートは三原山山頂口駐車場
スタート地点となる三原山山頂口には大きな駐車場があるので、レンタカーを使って行っても心配なく駐車することができます。
ここには自販機もあるので、水分の確保やお手洗いはここで済ませておきます。
可愛い案内板のとおりに進んでいくと、売店や茶屋が並び(早朝はやっていません)、その先の外輪山展望台からは三原山の山容がどーんと見渡せます。
▼ 山頂遊歩道から三原神社へ
山頂遊歩道から三原神社へは約40分ほど。コンクリートで整備されているのでとても歩きやすいです。
この遊歩道を少し歩くと左側に見えてくるのがもこもことした溶岩の小山。
江戸時代の大噴火で流れ出て、いくつものシワのような何本も並んだ縄の跡のような不思議な形の溶岩(パホイホイ溶岩)をたくさん見ることができます。
他にも1986年の噴火の際に三原山頂火口からあふれ出た溶岩流の先端部や、ゴツゴツとした溶岩が積み重なっている様子を観察することができます。
また避難壕となるシェルターも所々に設置されおり、三原山が活火山であることを認識させられます。
しばらくすると道はつづら折りの坂道へ。そして山頂に近づくにつれて景色は壮大に!
天気が良い日には富士山も眺めながら歩くことができるので、休憩しながらゆっくりと、その景色を堪能したいところです。
▼ 火山に守られた奇跡の三原神社
坂を登り切って火山一周歩道に合流するとまもなく現れるのが、三原神社の鳥居です。天気がいい日には鳥居越しの見事な富士山を眺めることができる三原神社は、全国的にも珍しい下る参道を通ったその先に社殿があります。
こちらの三原神社は全島民が避難となった1986年の大噴火の際、直前まで迫った溶岩流が何故か社殿を避けるように両側に分かれて流れたため焼失を免れたという、まさに火山に守られた奇跡の神社なんだとか。
▼ 不思議な誕生秘話 ゴジラ岩
三原神社の少し先には奇岩ゴジラ岩があります。名前の通り今にも動き出しそうなゴジラにそっくりな岩。
これにも不思議なエピソードがあります。1984年に公開された映画『ゴジラ』第16作では三原山が登場しており、ゴジラは最期 三原山火口へと落とされエンディングを迎えるのですが、偶然にもその2年後の1986年の大噴火で誕生したというこのゴジラ岩。火口から復活してきたゴジラの祟りなのではないか、といわれているんだとか。
大島とゴジラはとても馴染み深い関係があるので、島内には至る所にいろんなゴジラがいます。ぜひ探してみて下さいね♩
火口展望台と火口西展望所
すぐに見えてくるこちらの建物が、2階が火口展望台、1階がトイレになっています。
そしてここを左へ入ると、火口西展望所へといくことが出来ます。
火口を一周しなくても噴火口を味わうことができるので、お鉢巡りまではする時間がない方におすすめ。10分ほどで往復できちゃいます。
ただし火口の底までは見ることが出来ないので、時間が許すならお鉢巡りは必須とも言えます。行って後悔はないはずです!!
▼ 火口をぐるっと一周 お鉢めぐり
大迫力の三原山中央火口!
ここからはダイナミックな火口をぐるっと一周するお鉢巡りです。一周は約2.5km およそ40分、反時計回りで進みます。塗装路から一気に砂利道へと変わるので足元に注意と風が強いことも多いので防風対策もお忘れなく。(キャップや帽子は吹き飛ぶ可能性大です!)
まもなく見えてくるのが写真右のお山、中央火口丘にある三原山の最高峰 三原新山(758m)です。ですが残念ながら登ることが出来ないので、東側にある剣ヶ峰(749m)が実際に登ることが出来る最高峰となっています。
巨大な火口と、その反対側には360度の青い海と、伊豆諸島の島々を眺めることもできます。どこを切り取っても壮大な景色。
そして三原山最大の見どころとも言える場所がこちら。
直径約300メートル、深さ約200メートルの「火孔(かこう)」と呼ばれる大きな縦穴を覗けるポイントです!
大噴火の激しさと、とてつもないパワーを思い起こさせる迫力。切り立った崖の様な壁には過去の噴火の溶岩や噴石が何重にも重なった層だったり、今も吹き出しているもくもくした白い煙。
そんな火口をバックに広がる海、水平線、富士山。
なんというか、自分のちっぽけさと、地球の大きさを感じずにはいられない圧巻の景色に思わず叫びたくなるほど。
ここは東京だということが本当に信じられなくなります。うーん、素敵な景色。
また、火口の反対側には黒いスコリアで一面を覆われた真っ黒な一体、裏砂漠もほぼ全域を見渡すことが出来ます。
ちなみに大島は、日本で唯一地図で砂漠と表記されている場所だって知ってました?
名も知らぬ惑星降り立ってしまったかのような異空間を味わえる裏砂漠。三原山登山と同じくらいおすすめな場所なので、ぜひ月と砂漠ラインを通って、その足で歩いて実感してみて下さい。
▼ 最高峰 剣ヶ峰(けんがみね)と
割れ目火口
先ほど説明した三原山の登ることが出来る最高峰「剣ヶ峰」はおそらくこの辺ですが、残念がら三角点のような標識はない様子。
こちらは1986年の噴火でできた割れ目噴火口(B2火口)。いくつもの火口が開き、噴き上がった溶岩のしぶきはなんと高さ1500mまで達したそうです!
今も水蒸気がもくもくと出ていて、自然の生々しさを感じることが出来ます。
▼ 温泉ホテルルートへ
火口をほぼ一周する手前に温泉ホテル・テキサスコースへの分岐があるので右に入ります。
これまでも十分に壮大な景色の連続でしたが、ここからもだいぶ異世界の空間が続きます。
青い海に向かって続く荒涼とした砂漠地帯、後ろを振り返れば裏側からみる三原山の勇ましさ。
次々に変わっていく景色に飽きることがありません。
▼ 溶岩地帯 ジオ・ロックガーデン
しばらくすると景色はゴツゴツとした岩がたくさんの溶岩地帯へと変わっていきます。
ジオ・ロックガーデンと呼ばれるこのエリアには色んな形をした溶岩がいっぱい。ここは1986年の割れ目噴火によって高く噴き出した溶岩のしぶきが、地表の流れる溶岩に複雑に降り積もって生まれたそうです。
見れば見るほど様々なカタチに見えてくる溶岩。何に見えるかは、あなた次第です。
▼ 植物の再生を辿る「再生の一本道」
溶岩エリアを抜けると現れる一本の道。これは「再生の一本道」と呼ばれていて、噴火によって荒涼となった地面から次第に草が生え草原となり、木が生え森となる。そんな数百年をかけた植物の再生の物語をこの一本道で辿ることができるんです。
「再生の一本道」は低木の草木や植物が育つ「いつか森になる道」と木々が生い茂る樹海からなる「こもれびトンネル」の二つの区間に分かれています。
はっきり言って、このネーミングセンスが良すぎて個人的にとても好き。
三原山から離れるに連れてだんだんと緑が増え、低木から森へと変わっていく様子を体感しながら歩くことが出来ます。
このこもれびトンネルを抜けたらゴールの大島温泉ホテルはすぐそこです。
宿泊者は逆にここから登山スタートする方が多いようです。こちらの大島温泉ホテルには、三原山を目の前に眺めながら入ることのできる露天風呂があるので、トレッキングの汗を流してひと休憩していくのがおすすめです^^
温泉ホテルコース 総距離約8km、約3時間
大島公園へ抜けるテキサスコース
もう一つの「テキサスコース」も軽く紹介します。このコースは島の東側の海岸線 大島公園へと抜けるロングルートで、テキサス州の砂漠をイメージして名付けられたそうです。
名前の通り砂漠の荒涼とした広大な景色が続きます。スコリアで埋め尽くされた地面を歩くたび、誰もいない静かな空間にザクッザクッという足音が響きます。
このコースは通る人も少なく、最初の砂漠地帯はわりとコースから外れやすいので一定間隔で打たれている杭を目印に歩いていきます。
しばらくすると温泉コースと同じ様にだんだんと緑が増え、身長ほどある草木が出てきて、そしていつの間にか照葉樹林の森へと変わっていきます。
天気が良い日にはこもれびが気持ち良い森歩きが楽しめます。とにかく人がいません。途中からは滑りやすい山道になっていくので、足元にはご注意。
途中塗装道路にぶつかり、ここからゴールの大島公園までは道路を渡ってさらに800mほど山道を下っていきます。
公園近づくにつれて冬の時期は椿の花が目につくように。なんだか地上に帰ってきた感!笑
落ちた椿もなんだか儚さがあって、いいですよね。
しばらくするとゴールの大島公園の駐車場へと到着します。2月中旬の大島公園は、早咲きのオオシマザクラが綺麗に咲いていました。
冬限定で大島公園では、ヤブツバキをはじめとする沢山の種類の椿を見ることができます。
椿の季節でなくても広い園内には無料で入れる動物園や海岸遊歩道が整備されていて、近くには樹齢800年の大島のサクラ株など観光スポットもたくさん!
バスに乗れば岡田港や元町港へアクセスすることが出来ます。(本数はかなり少ない&その日の出港帆によって時間が変わるので要確認)
テキサスコース 総距離約9.2km、約3時間半
三原山登山まとめ
いかがでしたか?
離島登山というとハードルが高く感じますが、ここは東京。ジェット船を使えばたった2時間でこんな異世界に来たような非現実を味わうことができちゃうんです!
三原山自体は758mと低山で気軽にハイキングができてしまうのに、三原山を取り巻く周りの全ての景色がとても壮大で、絶景。大島の大自然が生み出した日本で唯一の砂漠。
地球のエネルギーを全身で感じられる三原山登山、とてもおすすめです。
- 温泉ホテルコース 総距離約8km、約3時間
山頂遊歩道(40分)ー三原神社(10分)ー火口一周(50分)ー温泉ホテルコース(60分) - テキサスコース 総距離約9.2km、約3時間半
山頂遊歩道(40分)ー三原神社(10分)ー火口一周(50分)ー温泉ホテルコース(30分)ーテキサスコース(60分)
時間や体力に自信がない方は、山頂遊歩道から三原神社に立ち寄り、そのまま山頂遊歩道を戻ってきたり。お鉢巡りまではできない方は火口西展望所から火口を覗いて帰ってくるなど、それぞれの体力やスケジュールにあわせてルートを決めてみて下さい。
三原山登山のポイント
⚫︎ トイレは山頂口と火口展望台の2箇所
(コースの目的地大島温泉ホテル、大島公園にもあり)
⚫︎ 食事できる所は山頂口の歌乃茶屋か御神火茶屋
(食料は事前に準備しておく)
⚫︎ 風が強いことが多いので防風・防寒対策を
(ウィンドブレーカーやレインウェアなど)
⚫︎ 砂利道もあるので最低限スニーカーで
⚫︎ ルートやバスの時間を要チェック(→大島バス)
⚫︎ 登山バッジは歌乃茶屋で買える
大島へのアクセス
東京 伊豆大島へは大型客船、ジェット船、飛行機の3つの行き方があります。
① 大型客船 6時間 (¥4,780~)
② ジェット船 1時間45分 (¥7,760~)
東海汽船 https://www.tokaikisen.co.jp
▼ 調布飛行場より
③ 飛行機 25分 (¥11,800)
新中央航空 https://www.central-air.co.jp
島内の移動はレンタカー、路線バス、タクシーがありますがバスやタクシーは本数が少ないため、三原山縦走以外ならおすすめはレンタカーです。
大島は三原山以外にもおすすめ観光スポットがたくさんあるので、レンタカーであわせてまわってみて下さいね。
全国の「しま山100選」網羅の
ガイドブックはこちらから